将軍の証 人参
私は最近、中国の先生からの教えはひとまず置いておいて中国の漢方+日本の漢方を熟知している先生の勉強会へ通っている。
結論から申し上げると、日本人の体のことを深く理解・共感できるのは日本人以外に無い。と思ったからである。
日本人はとても細かい、手先が器用で神経質だから(感性豊か)こそ世界に誇れる技術、文化を今日まで築きあげてきていると言える。
はっきり言ってしまえば、日本人のこのきめの細かさや心のひだを理解し察知しそれを踏まえた上で漢方をお選びしなければちっとも効果がないと思ったからである。
日本人は、手先が器用で心が繊細である。
気を使って使い切ってしまうのが日本人の特徴である。
だから、職人と言われる人間は細くて骨っぽい人間が多い。
体質的には気虚。
気が不足しているため気長になれないので、職人は皆気が短い。
日本人の体質の特徴として、胃腸が悪い点が上げられる。
胃腸は、元気を作り出す大事な場所。
つまり元気製造機の部分。
それが日本の風土の特徴である湿気を受ける事によって胃腸が働かなくなり元気が無くなるという悪循環に陥る。
これが日本人の居眠りにつながる。
外国人が見て驚くのは、背中の曲がった老人を見るのと電車の中での居眠りの多さであると聞いた事があるのだがこの居眠りも気が足りない人の大きな特徴の1つと言える。
気
この気を補うのに最適なのが「人参」である。
古い中国の生薬の書物には
「人参は五臓を補い精神を安んじ、魂を静め、動悸をとどめ邪気を除き、目を明らかにして心を開き、智を益し久しく用いれば身を軽くし、年を延ばす」
と書かれている。夢のような生薬。これが人参であった。
古くは足利義満の時代、朝鮮から日本へ送られた人参の量は「日本人参史」に掲載されている。
朝鮮から室町の将軍に膨大な人参を献上しているのは実権を握る人物をないがしろに出来ないためである。
貿易の目玉として沢山輸入された人参は将軍にとって権力の証といえるものだった。
人参は、気を使いながら神経をすり減らし複雑な人間関係を縫うように生きている日本人に向いている生薬の代表格と言える。